前回の続きと、この講義の役割

前回の続きと、この講義の役割

前回のR-01では、インフラが計算資源・ネットワーク・保存領域・実行基盤という四つの要素でできていることを確認しました。今回は、その四要素を自分で抱えるのか、それとも借りるのかという選択に踏み込みます。この選び方しだいで、あなたが毎日向き合う運用の重さが大きく変わります。バイブコーディングで小さく作る立場にとって、ここでの判断は後々の負担を左右する分かれ道になります。

このスライドのポイント

  • R-01: インフラ=計算資源・ネットワーク・保存領域・実行基盤の四要素
  • 今回: その四要素を「自分で抱える」か「借りる」かの選択に踏み込む
  • この選び方が、日々の運用の重さを大きく左右する

オンプレミス・クラウド・マネージドの定義

オンプレミス・クラウド・マネージドの定義

用語を定義します。オンプレミスとは、自前で機械を購入し、設置して運用する方式です。クラウドは、R-01でも触れたとおり、事業者の資源を必要な分だけ借りる方式を指します。マネージドとは、資源を借りるだけでなく、更新や障害対応、バックアップといった運用まで事業者が引き受けてくれるサービス形態です。そして責任分界とは、どこまでが事業者の責任で、どこからが自分の責任かを分ける線のことを言います。この線を意識できるかどうかが、今回の核心です。

このスライドのポイント

  • オンプレミス=自前で機械を購入・設置・運用する方式
  • クラウド(R-01の再訪)=事業者の資源を必要な分だけ借りる方式
  • マネージド=借りるだけでなく、更新・障害対応・バックアップまで事業者が担う形態
  • 責任分界=どこまでが事業者の責任で、どこからが自分の責任かの線

なぜ責任分界を知る必要があるか

なぜ責任分界を知る必要があるか

この線を知らないと、二つの誤解に陥ります。一つは、クラウドだから全部お任せできる、という思い込みです。設定のミスやアプリ側の弱点は、事業者ではなく常に自分の責任であり、任せた気になっていると事故につながります。もう一つは逆に、何でも自前で抱え込み、機械の管理や障害対応に時間を奪われて、本来作りたいものへ手が回らなくなる選択です。責任分界を持っていれば、任せるべきところと自分で守るべきところを冷静に切り分けられます。

このスライドのポイント

  • 誤解その一: 「クラウドだから全部お任せ」——設定ミスやアプリの弱点(Q章)は常に自分の責任
  • 誤解その二: 何でも自前で抱え、運用に時間を奪われて本来の開発が進まない
  • 責任分界を持てば、任せる所と自分で守る所を切り分けられる

責任の帯グラフで見る全体像

責任の帯グラフで見る全体像

全体像を、責任の帯グラフで見てみましょう。オンプレミスでは、物理設備から運用まで、帯のほぼすべてが自分の色に塗られます。素の資源だけを借りるクラウドでは、設備側は事業者、実行基盤から上は自分と、帯がおおよそ半々に分かれます。マネージドでは、運用の大半が事業者側の色になり、自分の負担は大きく減ります。ただし、どの方式であっても、アプリとデータと設定の部分だけは、必ず自分の色のまま残ります。ここが動かない一線です。

このスライドのポイント

  • オンプレミス: 帯のほぼ全部が自分
  • クラウド(素の資源): 設備側は事業者、実行基盤から上は自分でおおよそ半々
  • マネージド: 運用の大半が事業者、自分の負担は小さい
  • どの方式でも「アプリ・データ・設定」は必ず自分の色のまま残る

経費アプリのデータベースで考える

経費アプリのデータベースで考える

経費アプリのデータベースで具体化します。自前サーバーに置く場合、電源の確保も、故障したときの交換も、L-10で学んだバックアップの取得も、すべて自分の手作業になります。一方、マネージドのデータベースを使えば、バックアップは自動で取られ、障害時の復旧も事業者側で進みます。一人で開発する立場なら、この答えはほぼ常に後者です。運用に人手を割けない分、任せられる仕組みへ寄せることが、現実的な選択になります。

このスライドのポイント

  • 自前サーバーに置く場合: 電源・故障時の交換・バックアップ(L-10)まで全部自分の手作業
  • マネージドのデータベース: バックアップは自動、障害時の復旧も事業者側
  • 一人開発の答えはほぼ常に後者——任せられる仕組みへ寄せる

技術サンプル: 責任分界表

技術サンプル: 責任分界表

責任分界を一枚の表にまとめます。層ごとに、オンプレミス・クラウド・マネージドで誰が責任を持つかを並べたものです。上の層ほど、方式によって担い手が事業者へ移っていくのが読み取れます。注目していただきたいのは、緑の帯で示した最下段です。アプリ・データ・設定は、どの方式を選んでも常に自分の責任であり、ここだけは決して事業者へ移りません。AIに構成を提案させたときは、この表の形で分界を書き出させ、自分が怠ると事故になる項目を確認してください。

このスライドのポイント

  • 種別: table
  • 目的: 層ごとに、方式別の責任の担い手を一目で確認する
  • サンプル本体:

混同しやすい概念

混同しやすい概念

混同しやすい点を整理します。マネージドは運用を任せる仕組みですが、責任まで全部移るわけではありません。任せられるのは、更新や障害対応といった運用の手間であって、どう設定し、どう使うかの責任は自分に残ります。Q-10で見た残存リスクの考え方と同じで、任せた後にも自分の側に残るものが必ずあります。ここを取り違えると、任せたつもりの油断が弱点になります。

このスライドのポイント

  • 「マネージド=運用を任せる」と「責任も全部移る」は別物
  • 任せられるのは更新・障害対応などの手間、設定と使い方の責任は自分に残る
  • Q-10の残存リスクの考え方と同じ——任せた後も自分に残るものがある

バイブコーディングでの確認点

バイブコーディングでの確認点

バイブコーディングでの確認点です。サービスを選ぶときは、N-10の選定の観点に「どこまでマネージドか」を必ず加えてください。運用を任せられる範囲が広いほど、あなたはアプリづくりとM章で学んだ業務の整理に集中できます。AIへの質問例としては、任せられるものは任せ、自分が持ち続ける責任はどれかを尋ねるとよいでしょう。任せる配分を意識することが、小さく作り続ける力になります。

このスライドのポイント

  • サービス選定(N-10)の比較軸に「どこまでマネージドか」を必ず入れる
  • 任せられる範囲が広いほど、自分はアプリと業務の整理(M章)に集中できる
  • AIへの質問例: 「任せられるものと、私が持ち続ける責任はどれですか」

一問一答とまとめ

一問一答とまとめ

最後に一問一答です。マネージドを使っても、常に自分の責任として残るものは何でしょうか。……答えは、アプリ・データ・設定です。運用は任せられても、使い方の責任は移りません。三十秒でまとめます。オンプレミスは自前、クラウドは借り物、マネージドは運用ごと借りる形であり、小規模ではマネージドへ寄せるのが定石でした。ただしアプリ・データ・設定だけは常に自分が守ります。次回R-03では、その借り方をさらに細かく四段階に分けて見ていきます。

このスライドのポイント

  • 一問一答: マネージドでも常に自分の責任なのは? → アプリ・データ・設定
  • 30秒まとめ: オンプレ=自前/クラウド=借り物/マネージド=運用ごと借りる。小規模はマネージドへ寄せる定石。ただしアプリ・データ・設定は常に自分
  • 次回R-03: 借り方をさらに四段階に分けて見る
  • 関連資料: 「Vercel公開 完全手順書」「Supabase入門ハンドブック」