カテゴリGの締めくくりとしての位置づけ

カテゴリGの締めくくりとしての位置づけ

前回のG-09では、行と列の二次元でレイアウトを組むGridを学びました。ここまでで構造、見た目、配置と、画面を作る道具は一通り揃っています。この最終回では、その画面を「誰でも使える」水準へ引き上げます。G-03で見たセマンティックな要素選びと、G-04で見たフォームのラベルが、ここで一つの答えとしてつながります。

このスライドのポイント

  • 前回G-09: 行と列の二次元で組むGrid
  • ここまでで構造(HTML)・見た目(CSS)・配置の道具が一通り揃った
  • 最終回の役割: その画面を「誰でも使える」水準にする
  • G-03のセマンティックな要素選び・G-04のフォームのラベルが、ここで一つの答えにつながる

アクセシビリティと6つの技術要件

アクセシビリティと6つの技術要件

アクセシビリティとは、身体条件や利用環境によらず、誰もが使える状態を指します。技術要件は6つです。1つ目はキーボードだけで操作できること、2つ目は今どこを操作中かを示すフォーカスの枠が見えること、3つ目は画像に代替テキスト、つまり読み上げ用の説明を付けることです。4つ目は入力欄にラベルを付けること、5つ目は文字と背景のコントラストを十分に取ること、6つ目はARIAです。ARIAは、意味をHTMLの標準要素で表せないときにだけ補う追加の属性で、乱用せず、まずG-03のセマンティックな要素を使うのが原則です。

このスライドのポイント

  • アクセシビリティ=身体条件や利用環境によらず使えること
  • ①キーボードだけで操作できる
  • ②フォーカス(今どこを操作中かの枠)が見える
  • ③画像に代替テキスト(alt。読み上げ用の説明)
  • ④入力欄にラベル(G-04)
  • ⑤文字と背景のコントラスト(薄すぎる字は読めない)
  • ⑥ARIA=標準要素で意味を表せないときに補う追加属性(乱用せず標準要素を優先)

なぜ必要か——利用者は選べない

なぜ必要か——利用者は選べない

なぜこれが必要かを考えます。業務アプリの利用者は、自分で選べません。社内の全員が使うからです。マウスが使えない人や読み上げソフトを使う人が一人でもいれば、その人はその画面で仕事ができなくなります。キーボードで動かない画面や、読み上げで意味の伝わらない画面は、法令や調達の要件に触れる場合もあります。そして、公開してから直すほど、費用は大きくなります。

このスライドのポイント

  • 業務アプリの利用者は選べない(社内の全員が使う)
  • マウスが使えない人・読み上げソフトを使う人が一人でもいれば、その人は仕事ができない
  • キーボードで動かない/読み上げで意味不明な画面は、法令や調達の要件に触れる場合もある
  • 後から直すほど費用は大きくなる

公開前チェックリストとしての6要件

公開前チェックリストとしての6要件

6つの要件は、公開前のチェックリストとして表にまとめられます。それぞれに「どう確認するか」と「欠けると誰が困るか」を対応させておくと、抜けが見えます。たとえばキーボード操作は、マウスを使わずTabキーだけで最後まで操作できるかで確認します。代替テキストは、画像を非表示にしても内容が伝わるかで確認します。要件ごとに困る人が違うので、一つでも欠けると、その要件に頼っている利用者が締め出されてしまいます。

このスライドのポイント

  • 6要件は公開前チェックリストとして表にまとめられる
  • 各要件に「どう確認するか」「欠けると誰が困るか」を対応させる
  • 例: キーボード操作=Tabキーだけで最後まで操作できるか
  • 例: 代替テキスト=画像を非表示にしても内容が伝わるか
  • 一つでも欠けると、特定の利用者が締め出される

正しい要素選びが8割を無料で済ませる

正しい要素選びが8割を無料で済ませる

具体例で見ます。G-03で触れた「クリックできるdiv」は、見た目こそボタンでも、キーボードのTabキーでは到達できません。操作したくても、たどり着けない要素になってしまいます。一方、button要素なら、Tabキーでの到達も、Enterキーでの実行も、読み上げでの「ボタン」という案内も、最初から備わっています。つまり、意味に合った正しい要素を選ぶだけで、アクセシビリティの多くの部分が、追加の手間なく満たされます。正しい要素選びが、いちばん確実で安上がりな対策です。

このスライドのポイント

  • G-03の「クリックできるdiv」は、見た目はボタンでもTabキーで到達できない
  • button要素なら、Tab到達・Enter実行・読み上げの「ボタン」案内が最初から備わる
  • 意味に合った正しい要素を選ぶだけで、アクセシビリティの多くが追加の手間なく満たされる
  • 正しい要素選びが、いちばん確実で安上がりな対策

技術サンプル: 代替テキストとラベル

技術サンプル: 代替テキストとラベル

サンプルを見ます。種別はcode、目的は代替テキストとラベルの正しい書き方を確認することです。imgのalt属性が代替テキストで、画像が見えない人にも内容を伝えます。labelとinputはG-04で見た対応付けそのもの、buttonはG-03で見た正しい要素選びそのものです。読み方の要点は、altには「画像がある」ではなく「何の画像か」を書くことです。AIへの質問例は、この画面をキーボードだけで操作するとどの順に移動し操作できない箇所はあるか、と聞くことです。

「自分に問題ない」は「誰でも使える」ではない

「自分に問題ない」は「誰でも使える」ではない

混同しやすいのは、「自分には問題なく使える」ことと「誰でも使える」ことの違いです。目が見えてマウスが使える人にとって不便がないことは、アクセシブルであることの証明にはなりません。作った本人が使えるのは当たり前で、確認すべきは、その外側にいる利用者です。自分の環境で試すだけでは、締め出してしまっている人の存在に気づけません。

このスライドのポイント

  • 混同: 「自分には問題なく使える」vs「誰でも使える(アクセシブル)」
  • 目が見えてマウスが使える人に不便がないことは、アクセシブルの証明にならない
  • 作った本人が使えるのは当たり前。確認すべきはその外側の利用者
  • 自分の環境で試すだけでは、締め出している人に気づけない

バイブコーディングでの確認点

バイブコーディングでの確認点

バイブコーディングでの確認点です。公開前に、altの無い画像、labelの無い入力欄、divで作られたボタンが無いかを、AIに一括で検査させます。質問はこう投げます。「この画面に、代替テキストの無い画像、ラベルの無い入力欄、button以外で作られた押せる要素はありますか」。もしAIがARIA属性を多用した修正を出してきたら、「標準の要素で書けませんか」と一段戻します。ARIAは、標準要素で表せないときにだけ使う最後の手段だからです。

このスライドのポイント

  • 公開前に、altの無い画像・labelの無い入力欄・divで作られたボタンが無いかをAIに一括検査させる
  • 質問例: 「この画面に、代替テキストの無い画像、ラベルの無い入力欄、button以外で作られた押せる要素はありますか」
  • AIがARIA属性を多用した修正を出したら「標準の要素で書けませんか」と一段戻す
  • ARIAは最後の手段(標準要素を優先)

一問一答とカテゴリGのまとめ

一問一答とカテゴリGのまとめ

最後に一問一答です。画像の内容を読み上げに伝える属性は何でしょうか。……答えは、alt、代替テキストです。30秒でまとめます。アクセシビリティの技術要件は6つ、キーボード操作、フォーカス、代替テキスト、ラベル、コントラスト、ARIAでした。そして、意味に合った正しい要素を選ぶことが、その多くを自動で満たします。これでカテゴリGは修了です。構造、見た目、誰でも使えること、の3点が揃いました。次回からはカテゴリH、画面の設計、UIとUXへ進みます。関連資料は「画面設計チェックリスト100」「AIアプリ公開前チェックリスト100」「UI改善プロンプト50」です。

このスライドのポイント

  • 一問一答: 「画像の内容を読み上げに伝える属性は?」→ alt(代替テキスト)
  • 30秒まとめ: 技術要件6つ=キーボード操作・フォーカス・代替テキスト・ラベル・コントラスト・ARIA。正しい要素選びが多くを自動で満たす
  • カテゴリG修了: 構造・見た目・誰でも使える、の3点が揃った
  • 次回: カテゴリH、画面の設計(UI/UX)へ
  • 関連資料: 「画面設計チェックリスト100」「AIアプリ公開前チェックリスト100」「UI改善プロンプト50」