前回との接続——真偽値に「仕事」を与える

E-04では、比較や論理の演算子が真偽値、つまりtrueかfalseという結果を生むことを確認しました。ですが、そこで生まれた真偽値は、まだ値として存在しているだけでした。この講義では、その真偽値が初めて「どちらの処理を実行するか」という流れを変える力になります。プログラムが一本道ではなく、分かれ道を持てるようになる、その仕組みを開けていきます。
このスライドのポイント
- E-04: 比較演算子・論理演算子の結果は真偽値(true / false)だった
- これまで真偽値は「値として持っているだけ」だった
- この講義で、その真偽値が初めて「どちらの処理を実行するか」を決める
- プログラムが一本道から「分かれ道」を持てるようになる
条件分岐の定義

条件分岐とは、条件式がtrueなら一方の経路を、falseならもう一方の経路を実行する構造です。多くの言語では、ifとelseという書き方で表します。ここでいう条件式とは、E-04で見た、評価すると真偽値になる式のことです。分岐は入れ子にすることができ、ある経路の中にさらに条件を置けます。また、条件が複数あるときは、上から順に評価される点も覚えておいてください。
このスライドのポイント
- 条件分岐=条件式がtrueなら経路A、falseなら経路Bを実行する構造
- 書き方: if(もし)と else(そうでなければ)
- 条件式=評価すると真偽値になる式(E-04の式の一種)
- 分岐は入れ子にできる(経路の中にさらに条件)
- 複数の条件は上から順に評価される
なぜ必要か——業務ルールはほぼ条件分岐

条件分岐がわからないと、「特定の場合だけ動かない」という種類の不具合の構造が読めません。こうした不具合は、ある条件のときだけ想定と違う経路に入ることで起きます。加えて、業務ルールにある「〜の場合は」という言い回しは、その多くが条件分岐に対応しています。この対応関係を持っておくと、日本語で書かれた業務ルールと、コードの分岐を突き合わせて読めるようになります。
このスライドのポイント
- 知らないと: 「特定の場合だけ動かない」不具合の構造が読めない
- こうした不具合は、ある条件のときだけ想定と違う経路に入ることで起きる
- 業務ルールの「〜の場合は」は、その多くが条件分岐に対応する
- 日本語の業務ルールとコードの分岐を突き合わせて読めるようになる
構造——分岐フローとelse漏れ

図では、条件分岐をひし形で表します。ひし形に条件式を書き、trueなら一方へ、falseならもう一方へ枝が分かれ、処理のあとで再び合流します。この形を思い浮かべられると、コードの流れを目で追えるようになります。ここで注意したいのが、elseの書き忘れ、つまり「その他の場合」を考え忘れることです。条件に当てはまらないケースをどう扱うかは、分岐を作るたびに確認すべき点です。
このスライドのポイント
- 条件はひし形で表す(条件式を書く)
- trueなら一方へ、falseならもう一方へ枝が分かれ、処理後に合流する
- 注意: elseの書き忘れ=「その他の場合」の考え忘れ
- 条件に当てはまらないケースの扱いは、分岐ごとに確認する
処理の流れ——経費承認と判定の順序

経費承認を例にします。金額が1万円未満なら自動承認、1万円以上なら上長確認、領収書がなければ差し戻し、という3つの経路があるとします。これはそのまま条件分岐の組み合わせです。ここで一つ大事なのが、どの順番で判定するかです。たとえば領収書の有無を先に見るか、金額を先に見るかで、最終的にどの経路に入るかが変わることがあります。順序も設計の一部だと意識してください。
このスライドのポイント
- 経費承認の例: 1万円未満→自動承認/1万円以上→上長確認/領収書なし→差し戻し
- これはそのまま条件分岐の組み合わせ
- どの順番で判定するかで、最終的に入る経路が変わることがある
- 順序も設計の一部
技術サンプルカード

サンプルを見ます。amountに12000が入っているとき、if(amount < 10000)の条件式はfalseになります。そのため、trueのときの「自動承認」は実行されず、elseの「上長確認へ」だけが表示されます。読み方の要点は二つです。条件がfalseなのでelse側だけが動くこと、そしてifとelseの両方が同時に実行されることはない、ということです。AIには「この分岐で拾えていないケース、つまり条件の漏れはありますか」と聞いてみましょう。
混同しやすい概念——ifを並べる vs else if

混同しやすいのが、ifをいくつも並べる書き方と、ifとelse ifでつなぐ書き方の違いです。ifを別々に並べると、条件のすべてが上から順に評価され、当てはまるものが複数あればどれも実行されます。一方、else ifでつなぐと、最初に当てはまった一つだけが実行され、残りは評価されません。この違いを知らないと、意図しない多重実行という不具合の原因になります。
バイブコーディングでの確認点——境界値と想定外

AIに分岐を作らせたら、まず境界値を確認します。「ちょうど1万円のとき、どちらの経路に入りますか」という質問です。1万円未満と書いたなら、ちょうど1万円は上長確認側に入ります。次に、想定外の値も確認します。「マイナスの金額や、空の値が来たらどうなりますか」と聞きましょう。これはA-08で学んだ例外を、分岐の実装として確かめる作業にあたります。
このスライドのポイント
- 分岐を作らせたら、まず境界値を確認する
- 質問例:「ちょうど1万円のとき、どちらの経路に入りますか」
- 次に想定外の値を確認する:「マイナスや空の値が来たらどうなりますか」
- A-08で学んだ例外を、分岐の実装として確かめる作業
まとめと次回

一問一答です。「if の条件がfalseのとき、実行されるのはどこでしょうか」。(間)答えは、else側です。elseが書かれていなければ、何も実行されません。30秒でまとめます。条件分岐は、条件式の真偽値で経路を切り替える構造で、ifとelseで表し、上から順に評価され、条件の漏れと判定の順序が要注意点でした。次回は、同じ処理を何度も回す繰り返し処理へ進みます。関連資料は「業務整理質問集100」「テスト観点プロンプト50」です。
このスライドのポイント
- 一問一答:「if の条件が false のとき実行されるのは?」→ else側(elseがなければ何も実行されない)
- 30秒まとめ: 条件分岐は真偽値で経路を切り替える/if・elseで表す/上から順に評価/条件の漏れと判定の順序が要注意
- 次回: 同じ処理を繰り返す構造(繰り返し処理)へ
- 関連資料: 「業務整理質問集100」「テスト観点プロンプト50」