前回の続き——反応の次は「どの端末で使うか」

前回の続き——反応の次は「どの端末で使うか」

前回のH-08では、操作には必ず反応を返すというフィードバックの原則を学びました。今回のH-09では、その画面を「どの端末で使うか」に目を向けます。業務アプリだからパソコンだけ、とは限りません。経費の承認や日報の確認は、移動中のスマートフォンで行われることが多いのが現実です。画面幅が変われば、良い画面の条件も変わります。

このスライドのポイント

  • H-08: すべての操作に反応を返す(フィードバック)を学んだ
  • 今回: その画面を「どの端末で使うか」に目を向ける
  • 業務アプリ=パソコンだけ、とは限らない
  • 経費の承認・日報の確認は、移動中のスマートフォンで行われることが多い

定義——レスポンシブデザインとブレークポイント

定義——レスポンシブデザインとブレークポイント

レスポンシブデザインとは、1つの画面を、画面幅などの条件に応じてレイアウトを変えて提供する設計です。パソコン用とスマホ用を別々に作るのではなく、同じ画面が幅に合わせて組み替わります。その切り替えが起きる幅のしきい値を、ブレークポイントと呼びます。変えるのは配置だけではありません。G-08やG-09で見た並べ方に加えて、ボタンなど操作対象の大きさ、そして限られた画面で何を優先して見せるかまでを設計します。

このスライドのポイント

  • レスポンシブデザイン=1つの画面を、画面幅などの条件に応じてレイアウトを変えて提供する設計
  • ブレークポイント=レイアウトを切り替える幅のしきい値
  • 変えるのは配置(G-08/G-09の並べ方)だけではない
  • 操作対象の大きさ(指で押せるか)、優先して見せる情報も変える

なぜ必要か——「PCでは完璧、スマホで崩壊」を防ぐ

なぜ必要か——「PCでは完璧、スマホで崩壊」を防ぐ

これを知らないと、「パソコンでは完璧なのに、スマートフォンで開くと崩れて使えない」アプリを公開してしまいます。文字が小さすぎて読めない、ボタンが指で押せない、横に長い表がはみ出す、といった事故です。しかもAIへ「スマホ対応して」とだけ頼むと、ただ全体を縮小しただけの、やはり読めない画面が返ってくることがあります。何をどう変えてほしいかを、人間が具体的に指示する必要があります。

このスライドのポイント

  • 知らないと: パソコンでは完璧なのに、スマートフォンで崩れて使えないアプリを公開してしまう
  • 具体的な事故: 文字が小さすぎて読めない/ボタンが指で押せない/横長の表がはみ出す
  • AIへ「スマホ対応して」だけでは、全体を縮小しただけの読めない画面が返ることがある
  • 何をどう変えるかは、人間が具体的に指示する必要がある

構造——「縮める」のではなく「組み替える」

構造——「縮める」のではなく「組み替える」

同じ経費一覧を例に、2つの表示を比べます。パソコンでは、日付・区分・金額・状態などを横に並べた表形式が読みやすい形です。一方スマートフォンでは、横幅が足りません。ここで大切なのは「縮める」のではなく「組み替える」ことです。1件ごとを縦に積み、主要な3項目だけを見せる形へ作り替えます。同じ情報でも、幅に応じて並べ方そのものを変える。これがレスポンシブの考え方です。

このスライドのポイント

  • 同じ経費一覧を、パソコン表示とスマートフォン表示で比べる
  • パソコン: 日付・区分・金額・状態を横に並べた表形式
  • スマートフォン: 1件ごとを縦に積み、主要3項目だけを見せる
  • 原則: 「縮める」ではなく「組み替える」

具体例——指で押せる大きさと、優先列

具体例——指で押せる大きさと、優先列

具体的な判断基準を挙げます。スマートフォンで承認ボタンを押すには、指で確実に押せる大きさ、目安として約44px四方が必要です。横に長い表を横スクロールさせるのは避け、優先度の高い列だけを残します。並べ方の切り替えには、G-09で見たGridの列数を、ブレークポイントで変えるのが定石です。パソコンでは3列、狭い画面では1列、というように条件で切り替えます。

このスライドのポイント

  • スマートフォンで承認ボタンを押すには、指で確実に押せる大きさが必要(目安 約44px四方)
  • 横長の表は横スクロールを避け、優先度の高い列だけを残す
  • 並べ方の切り替えは、G-09で見たGridの列数をブレークポイントで変えるのが定石
  • パソコンでは3列、狭い画面では1列、と条件で切り替える

技術サンプル——幅で列数を変えるCSS

技術サンプル——幅で列数を変えるCSS

今回のサンプルは、そのブレークポイントを表すCSSです。種別はcode、目的は「画面幅でレイアウトを切り替える書き方を1つ知る」ことです。読み方は3点あります。1つ目、上のドットlistは通常3列で並べる指定です。2つ目、アットマークmediaの行が幅600px以下という条件で、これがブレークポイントにあたります。3つ目、その条件のときだけ列を1列に変えています。実装はカテゴリIで詳しく扱いますが、いまは「幅で切り替える発想」だけ掴めれば十分です。

このスライドのポイント

  • 種別: code
  • 目的: 画面幅でレイアウトを切り替える書き方を1つ知る
  • サンプル本体:

混同しやすい——「縮小表示」と「レスポンシブ対応」

混同しやすい——「縮小表示」と「レスポンシブ対応」

混同しやすいのが、「縮小表示される」ことと「レスポンシブ対応している」ことの違いです。スマートフォンで開いたときに、パソコンの画面がそのまま小さく表示されるのは、成り行きの縮小にすぎません。文字が読めず、ボタンも押しにくいままです。レスポンシブ対応は、幅に応じて並べ方や優先情報を設計して変えたものです。見た目が収まっているかではなく、その幅で快適に操作できるかで区別します。

このスライドのポイント

  • 縮小表示される(成り行き): PC画面がそのまま小さく表示されるだけ。文字は読めず、ボタンも押しにくい
  • レスポンシブ対応(設計): 幅に応じて並べ方・優先情報を設計して変えたもの
  • 区別の基準: 見た目が収まっているかではなく、その幅で快適に操作できるか

バイブコーディングでの確認点

バイブコーディングでの確認点

AIへ画面を頼むときは、「スマートフォンの幅では何を優先して表示するか」を要件として先に渡します。これはH-04で学んだ、項目の優先順位づけを画面全体に広げたものです。生成された画面には、「この画面をスマホ幅で見たとき、操作できない箇所や読めない箇所はありませんか」と確認しましょう。実際に幅を狭めて確かめるのが確実です。

このスライドのポイント

  • AIへ画面を頼むときは「スマホ幅では何を優先表示するか」を要件として先に渡す
  • これはH-04の項目の優先順位づけを、画面全体へ広げたもの
  • 生成後は、スマホ幅で操作できない・読めない箇所がないかを確認する
  • 実際に画面幅を狭めて確かめるのが確実

まとめと次回への橋渡し

まとめと次回への橋渡し

最後に一問一答です。レイアウトを切り替える幅のしきい値を、何と呼ぶでしょうか。(間)答えは、ブレークポイントです。では30秒でまとめます。レスポンシブデザインは、1つの画面を幅に応じて組み替える設計で、切り替えの境目がブレークポイントでした。大切なのは、縮めるのではなく組み替えること、そして優先情報と操作の大きさまで設計することです。次回はカテゴリH最終回、決めた規則を資産にするデザインシステムへ進みます。関連資料は「SaaS画面パターン100」「UI改善プロンプト50」です。

このスライドのポイント

  • 一問一答: レイアウトを切り替える幅のしきい値を何と呼ぶ? → ブレークポイント
  • 30秒まとめ: レスポンシブ=幅に応じて組み替える設計。縮めるのではなく組み替える。優先情報と操作の大きさまで設計する
  • 次回: カテゴリH最終回、規則を資産にするデザインシステムへ
  • 関連資料: 「SaaS画面パターン100」「UI改善プロンプト50」