前回の続き——部品がわかったら、次は「分担」

前回のA-03では、Webアプリがどんな部品でできているかを見ました。部品がわかると、次に決めたくなるのは、その部品を誰がどう作り、どこで公開してよいかを判断する分担です。バイブコーディングでは、コードの生成はAIが引き受けますが、何を作り、どこまでを完成とするかを決めるのは人間です。この人間とAIの分担こそ、本講座を通して繰り返し戻ってくる背骨になります。
このスライドのポイント
- A-03で、Webアプリを構成する主要部品を見た
- 次に決めるのは「その部品を、誰がどう作り、確認するか」=分担
- 生成はAI、判断と確認は人間。これが本講座の背骨
定義——人間が持つ7つの仕事

先に、いくつかの言葉を決めておきます。要件とは、何ができれば完成かという条件のことです。差分とは、AIが変更した箇所と、変更前との差を指します。テストとは期待どおりに動くかどうかの確認、運用とは公開したあとも動かし続ける仕事のことです。これらを踏まえると、人間が最後まで持つ仕事は、目的設定・要件判断・設計選択・差分確認・テスト・公開判断・運用責任の7つに整理できます。
このスライドのポイント
- 要件=何ができれば完成かの条件
- 差分=AIが変更した箇所と、変更前との差
- テスト=期待どおり動くかの確認/運用=公開後も動かし続ける仕事
- 人間の7つの仕事: 目的設定・要件判断・設計選択・差分確認・テスト・公開判断・運用責任
なぜ必要か——分担があいまいだと起きること

なぜこの分担を意識する必要があるのでしょうか。分担があいまいだと、AIの提案をそのまま全部受け入れてしまい、意図しない変更や壊れた機能、危険な公開に気づけなくなります。AIは指示に沿ってもっともらしい答えを返しますが、その結果が正しいかどうかまでは保証しません。そして何より、公開後に問題が起きたときの責任は、AIには取れません。だからこそ、判断と確認は人間の側に残しておく必要があります。
このスライドのポイント
- あいまいだと、AIの提案を全部受け入れてしまう
- 意図しない変更・壊れた機能・危険な公開に気づけない
- AIは結果の正しさを保証しない/公開後の責任も取れない
構造——開発の流れと、人間・AIの担当

全体の構造を見てみます。開発は、目的・要件・生成・確認・テスト・公開・運用という順で進みます。この流れの中で、AIが主に担当するのは生成の段階だけです。目的や要件を決め、生成された結果を確認し、テストして公開してよいかを判断し、公開後に運用するのは、いずれも人間の役割です。図では各段階に「人間」か「AI」のラベルをつけ、判断の主体がどちら側にあるかを一目でわかるようにしています。
このスライドのポイント
- 開発の流れ: 目的→要件→生成→確認→テスト→公開→運用
- AIが主担当なのは「生成」の1段だけ
- ほかの段階は、すべて人間が判断者として立つ
具体例——「日報アプリ」の分担

具体例で見てみましょう。日報アプリを作る場合を考えます。まず、何のために作るのか、どんな入力項目が必要かを決めるのは人間の仕事です。その条件をもとに、画面やコードを実際に生成するのはAIが引き受けます。そして、できあがったものが意図どおり動くかを確認し、社内に公開してよいかを判断するのは、ふたたび人間に戻ります。同じ日報アプリでも、AIに任せる部分と人間が持つ部分は、このようにはっきり分かれています。
このスライドのポイント
- 目的と入力項目を決める=人間
- 画面とコードを生成する=AI
- 動作確認と公開の判断=人間
- 同じアプリでも、任せる部分と持つ部分ははっきり分かれる
技術サンプル——条件を渡す依頼文

サンプルとして、人間が決めた条件をAIに渡す依頼文を見てみます。目的・利用者・完成条件、そして触らないでほしい箇所を、短い文で明記しています。読み方のポイントは、この依頼文の中に、AIに決めさせている項目が1つもないことです。何を作り、どこまでを完成とみなすかは、すべて人間が先に決めています。渡したあとに、足りない前提があれば作り始める前に質問してくださいと添えると、思い込みのずれを早い段階で防げます。
このスライドのポイント
- 種別: prompt
- 目的: 人間が決めた条件だけをAIに渡す依頼文の形を確認する
- サンプル本体:
混同しやすい——「任せる」と「丸投げ」

ここで混同しやすい2つを区別します。AIに任せることと、AIに丸投げすることは違います。任せるとは、条件を決め、結果を確認する役割を人間が持ったうえで、作業だけをAIに渡すことです。丸投げとは、何を作るかや公開してよいかという判断ごと、AIに預けてしまうことです。同じようにAIを使っていても、判断を手元に残しているかどうかで、結果への責任の持ち方がまったく変わります。
このスライドのポイント
- 任せる=条件と確認を人間が持ち、作業だけをAIに渡す
- 丸投げ=何を作るか・公開してよいかの判断ごとAIに預ける
バイブコーディングでの確認点——差分確認を習慣に

では、実際に何を確認すればよいのでしょうか。おすすめは、AIが何かを生成するたびに、差分を確認する習慣をつけることです。具体的には、何を変更しましたか、変更していない場所はどこですか、と毎回聞きます。変更点がはっきりすれば、意図しない場所まで書き換えられていないかを、人間の目で判断できます。差分確認は地味な作業ですが、この講座を通じて最も繰り返し使う確認の型です。
このスライドのポイント
- AIが生成するたびに、差分を確認する習慣をつける
- 質問例: 「何を変更しましたか。変更していない場所はどこですか」
- 変更点がはっきりすれば、意図しない書き換えを人間の目で判断できる
一問一答とまとめ

最後に一問一答です。アプリを公開してよいかどうかを、最終的に判断するのは誰でしょうか。……答えは、人間です。AIは判断の材料を出せますが、公開後の責任を持つことはできないからです。30秒でまとめます。開発の流れのうちAIが担うのは生成であり、目的設定から運用責任までの7つは人間が持ち続けます。任せると丸投げの違いは、判断を手元に残しているかどうかでした。次回は、そのAIがそもそもどうやってコードを作っているのか、その仕組みの入口をのぞきます。関連資料は、開発プロンプト100選、Claude Code初回指示テンプレート、AI開発ツール別の向き不向きです。
このスライドのポイント
- 一問一答: 「公開してよいかを最終判断するのは誰?」→ 人間
- 30秒まとめ: 生成はAI、7つの仕事は人間。任せると丸投げの差は「判断を手元に残すか」
- 次回: AIがそもそもどうやってコードを作っているのかを見る
- 関連資料: 「開発プロンプト100選」「Claude Code初回指示テンプレート」「AI開発ツール別の向き不向き」